ブライアン・ウィルソンの『SMiLE』

スマイル

スマイル

『SMiLE』→ヴァン・ダイク・パークスの『ソング・サイクル』→『SMiLE』→『SMiLE』と現在「スマイル」三回転目。こんな五反田あるいは巣鴨のような花ビラ大回転状態、久しぶりだわさ。
はい。御多分に漏れずワタクシメも本日、萩原センセイのライナー付『SMiLE』日本盤を購入してきたクチです。
いや正直不安はありました。まぁみなさんも同じだと思うが、ブライアン・ウィルソン爺の今の声とか、現在の録音の仕方とかね。どうなの?と。で、2曲目の「英雄と悪漢」の出だしのアレンジは痺れたものの、ぶっちゃけ言うとね、いや勇気を出して言っちゃうとね、やっぱ声がさー、とかちっちゃなこと気にしちゃって前半だれかけてたのですよ。スマイル伝説リアルタイム世代でもないし、歴史の重みなんておいらは知らん、このアルバムがいいかどうかだけやろ、とか威勢張っちゃって。
それがアルバムの全体像がわかりはじめて来る半ばあたりになると*1、オリジナル録音を忠実に再現したというその気迫と"アルバム"として音圧が、これまでのSMiLEの幽霊を断片的にしか聴いてない不肖のおいらにも感じられてきて、全体の流れを感じようよ!というのか、とにかく今のコレを愉しもうよ!というメッセージにも聞えてくるから不思議だ。そうなるともう、一つ一つの曲の声とかアレンジとか(それはそれで確かに重要だけど)どうでもいい感じになってくる。ひとつひとつの音に神経を研ぎ澄まして緊張して聴いていたのが、ソファに寝っころんでマクド食いながら聴けちゃう感じになってくる。それがいいのか悪いのか、意図してるのかそうでないか知らんが。
しかも今、3回転目だが、聴けば聴くほどよくなっている。あと100回は聴くアルバムになることは確実。

ちなみに、『SMiLE』→『ソング・サイクル』というローテーションで聴いたのだが、図らずもヴァン・ダイク先生の作品がとっても稚拙に聞こえてきてしまうという始末*2。66,67年当時での緻密さ且つぶっ飛び具合はブライアンのが2,3歩どころか光年レベルで先を行ってる気がします。

しかし、本題とは全く関係ないが、ワタクシメ、いつもは家で焼酎あおってるのであるが、コレ聞いてたら何故かカルーア・ミルクが飲みたくなって棚の奥からカルーア引っ張り出してきてグビグビやりながら聴いてた次第。焼酎、シングルモルトの"つーん"さじゃなくて"たら〜ん"って感じなのよね。ブライアンって。ブライアン・ウィルソン=牛乳という謎の構図が自分の中でできてしまいました。

なんやかんや言って、コレも超オススメ

ソング・サイクル

ソング・サイクル

*1:尤も、萩原健太大先生はブライアンが当時思い描いていた曲順とは違う気がするとおっしゃって言っているが。

*2:まぁコンセプトと作品のアプローチ、作り方が全く違うという点が大きいのだろうが。コレはハーパース・ビザールをラフ且つハイブロウに進化・深化させたというイメージでおいらは捉えている。個人的にはヴァン・ダイク氏の方にシンパシーを感じる。