ブラジル編

わーいわーい。id:gotanda6さんに紹介してもらったらアクセスが増えてるぞー。この企画に関しては野郎のアクセスなんぞ一ミリも嬉しくないが、OLさんのアクセスは大歓迎だぞぉ!モテモテなgotanda6さんのおこぼれを掻っ攫うべくこの企画続行だぁ。と、ここからは苦節33年、骨身に沁み込んでしまった小谷野敦キャラをちょいと捨ててキチンと書くデス。
初回でボツかなと思ったこの連載ですが、今回はJAZZに続いて、世間的におしゃれ音楽と目されているボサ・ノヴァというかブラジル音楽についてご紹介。個人的にはボサ・ノヴァはあんまり詳しくはないんだけど、こういう音楽がOLさんにはおしゃれなのかな?(=モテるのかな?)と思ったので尻尾をフリフリ喜んで聴きつつ書いているのです。


三月の水

三月の水

ボサ・ノヴァの発明家、ジョアン・ジルベルトの隠れ代表作(個人的にはベストワン)。ジョアンといえばつい最近73歳の御年で2度目の来日公演を果たし、日本に感動の渦を巻き起こしたことで記憶に新しいが、かく言う私も最終日に行って感動してしまったクチであーる。だってアノ年で4時間ライブやるんですぜ。そんなジョアンが'73年に(彼にとって)それまでのつまんないしがらみを切って、比較的のびのびとやりたいように録音した気分がとってわかる(でも緊張感もやっぱある)アルバムです。ギターとハイハットのみというシンプルなスタイルだからこそ浮き出て来るジョアンのヴォイスが貴方の脳髄まで突き抜けます。



黒いオルフェ?ベスト・オブ・ボサノヴァ・ギター

黒いオルフェ?ベスト・オブ・ボサノヴァ・ギター

うーん。2枚目何を紹介しようかと凄く悩んだのですが、結局バーデン・パウエルは入れないといけない気がする。彼をボサ・ノヴァの範疇に入れるは個人的にはものすごく抵抗があるのはそうなんですが(そういう意味ではジョアンも一緒だが)。ボサ・ノヴァというフォーマットは使っていますが、全くオリジナルな触感があります。パーカッシブな奏法ということがよく言われるんですが、テクニックの問題ではなくアーシーな肉感というのか饐えた感じというのか(生の)重さを感じるデス。ある意味ジョアンの対極な気もするなぁと(音楽として)。これはベスト盤ですが、まずはここから。



The Subtle Body (O Corpo Sutil)

The Subtle Body (O Corpo Sutil)

さーて得意分野がきました。ブラジル出身で最もシンパシーを感じる変態おしゃれ野郎、アート・リンゼイさんの登場です。もともと'70後半のNYアンダーグラウンドシーンでモリ・イクエさんといっしょにDNAで痙攣パフォーマンス*1してたのはとうの昔、楽器が弾けないノイズ(ギター)担当として、「DNA」→「ラウンジ・リザーズ」→「アンビシャス・ラバーズ」と転々と転がり、いまでは坂本教授なんかの文脈で語られる、エセおしゃれアーティスト。で、このアルバム。全編ボッサな感じではありますが、それもひねくれ微熱ボッサで、下手くそな彼の声がひねくれ演奏を凌駕してて妙に本来のボサ・ノヴァっぽく、とってもいかったりします。アマゾンで視聴できるんでその微妙な微熱感を感じてください。



魚の目

魚の目

ブラジル音楽=ボサ・ノヴァでは当然、ない。コレはロックというのかブラジリアン・オルタナティブというべきか、兎に角、類を見ないサウンドレニーニ=ブラジルの前衛ギタリスト+スザーノ=タンバリンでモノ凄いグルーヴの発音方法を発明した野郎のコラボーレーションアルバム。このアルバムを期に、双方ともブラジルの売れっ子ミュージシャンになったのであーる(レニーニはそれまでもキャリアがあったが、スザーノはこれでブラジル全土はおろかUSからも声がかかるセッション・ミュージシャン、リミキサーとしても超有名に)。実は、このユニット、今は無き青山のブラジリアン・レストラン&ライブハウス「サバス東京」で、かれこれ数年前(7、8年前か?)前知識なしにライブを見たのであるが、これが人生で3本の指に入るほどぶっ飛んだライブなのであった。ギター&タンバリンというこれ以上ないシンプルな構成にもかかわらず、腹の底から血がふつふつ湧き上がり踊りまくれるすばらしいライブなのであった。で、これはその場で買ったアルバムである。そのライブの雰囲気は一曲目に凝縮されてます。手に入れば是非。



The Colors Of Brazil African Blue

The Colors Of Brazil African Blue

我が師匠、レス・バクスター先生の代表作。ブラジル人では全くない。一言でいえばアメリカ人がエキゾチカ・ミュージックというフィルターを通した上でのでのブラジル・ミュージック。まぁわかりやすく言えばムード・ミュージック。ここで極私的な話をすれば、うちの親はほとんど音楽を聴かないヒトではあったが、何故か車の中にはどこで買ってきたのか、8トラのムード・ミュージック(「真珠の首飾り」とかの変なオーケストラがやってるインスト系)集や演歌(石川さゆり系)がたんまりとあり、その当時は凄く嫌な気分で聴いていた記憶があるのであるが、やっぱり血は争えないというのか、今となってみればバクスター・ワールドは私の骨肉となっているのでありました。こういうムード・ミュージックはいいですよ。30代の貴女なら必ずやしっくりきちゃいますよ。70年代後半のヴァイオレンスな時代の昼下がりの情事にぴったりな、昼メロ満載な安い素敵なムジークです。



la puerta

la puerta

番外編。しかもこれCDまだ買ってない。ライブを2回見ただけ。なのでなんも言えないのですが、saigenji氏のオンガクは、ボサ・ノヴァのフォーマットをかるーく超えて完璧オリジナル世界にいるのでここにいれるべきか?と思ったのが、まぁおしゃれさん企画なんでいいのかと。アルバム買います。

*1:動く彼を見るのは『ダウンタウン81』がいいですよ