まっくろなさかな

plagio2005-06-04


僕が今、従業員として働いている会社のアメニティスペースの中央にはおっきな水槽がでーんと横たわっていて、その内側ではたくさんの種類のたくさんの綺麗な熱帯魚なんかが優雅に泳いでいたりする。
で、なんでそんなもんが会社にあるかと言うと決して会社がバブってるわけではなく、しかしそうでないとしすると、そんなもんがある理由はオトナは察しがつくとは思うが福利厚生設備という名目で少しでも、殺伐とした人間関係や不理尽な人事や結果生まれる病気やなどを減らそうと(以下略)。
綺麗な熱帯魚が華麗に舞う水槽、というと聞こえはいいのだが、しかしそこでは(も)さまざまな切った張ったのドラマが繰り広げられているのもこれまた事実である。この水槽のコンセプトは「生態系の凝縮体」ということもあり、魚だけではなく、エビなどの甲殻類やヒトデやイソギンチャク(超でかい!)なんかがひしめき合う、パラレルワールドなのだ。あるときにはニモでおなじみカクレクマノミ君が油断をした隙に、仲間だと思っていたイソギンチャク君にあっさり巻きつかれてそのまま体液全部吸い取られ、数日かけて骨だけになってしまう、などという金融原理資本主義者も真っ青なプリティなこともあったりした(コレ、実話)。

さてこの水槽、週に一度ぐらいキャラが入れ替わったりしたりする。専門の会社の人が安全圏から眺めてあーだこーだ感想を言うに過ぎない僕らを楽しませようと、1m3のバイオスフィアの中で起こる葛藤やドラマを大映テレビよろしく演出してくれているわけだ。

そんな中、今日、一匹のまっくろなさかなが新入りとして入ってきた。

同種の魚は中にはいない。大きさもこのシマの中では中型〜小型の部類。
どこの世界でもそうなのだが、こういう場合まず既存体制・組織の制裁が発動される。フグとかブサイクで面構えが厚い鈍感君はこういうの全く平気なのだが、不幸なことにコイツは繊細さが透けて見えるよい子そうな面構えなのだ。案の定ナワバリを守ろうとするすべての魚に突付かれまくり半日もしない間に、息も絶え絶え、ヒレもぼろぼろ、もう上向いちゃってアップアップしてる。正直、月曜に会社行った時にはかわいそうだけど死んでると思う。

コレ見てふと僕が子供の頃に読んだ児童書「やっぱりおおかみ」のことを思った。

やっぱりおおかみ (こどものとも傑作集)

やっぱりおおかみ (こどものとも傑作集)

つづく